【書評】多動日記(一)

多動日記

高城剛

 

面白い!世界をずっと飛び回っている高城剛が感じたことを、ストリートから政治・経済・歴史・テクノロジーを読み解くエッセイでした。

 

日記って書いているから、ただ単に1日のしたことを並べているだけかと思いきや、いろんな話を混ぜこぜにして綺麗に結論まで持っていく感じは、さすがという感じ。なにより文章が上手いため、読み疲れがしないのがすごい。

 

時を同じくして出版された、ホリエモンの「多動力」のレビューについては、こちら。

ちなみに多動力の言葉の生みの親は高城剛で、ホリエモンはそれを広める役割らしい。素晴らしい対談。

 

newspicks.com

 

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この本は出版社からはNGを食らったそうだ。笑

キンドル大ヒットシリーズ「黒本」に続く、大手出版社から「タイトルも中身も差別的である」という理由から出版を断らた一冊が、電子だけで登場。
大手出版社は「もし、本書を出したいなら、診断書を提出しろ」と高城に迫りました。
果たして、どちらが差別的なのでしょうか。

なぜ、高城剛は旅を続けるのか。
自由は、どこにあるのか。

多動の日々を苦悩する著者の初の旅行日記は、「真実の世界」を描いているのか?
それとも「頭のなかだけの出来事」なのか。

地球100周した著者がはじめて語る、非線形の21世紀型旅行スタイル。
現実と非現実が交差する「ポスト真実」時代の旅行記。
紙では出版できなかった、電子ならではの一冊です。

 

読んでいくとわかるが、触れてはいけないことも触れてしまっている。いやはや、もし仮に嘘だったとしてもメディアでは絶対触れれないことだらけ。それがいつもの高城剛なんだろうけど。

 

臭いものに蓋をする日本社会なら、まぁ仕方ないのかもしれない。だけど、今はKindleで自己出版できるのが良い時代だ。

 

アンタッチャブルな話① 

ディズニーランドは、「キマった」人が作った「キマった」人たちにとっては夢の国だろうが、そこにシラフの老若男女行って楽しむなんて、「キマった」人々には悪夢に映るだろう。現世そのものが「キマった」ように感じるから。 

こんなの報道機関や出版社は死んでも言えない。

ディズニーランドは夢の国であって、それは誰の夢かというとウォルトディズニーの夢だ。もしも作った張本人が何かドラッグみたいなのを摂取していたときに見た夢なら、それはそれで「キマった」国なんだろう。

 

アンタッチャブルな話②

 

かつての日本であれば終身雇用であり、家を持つことが幸せであるという刷り込みを前提にした高額な住宅ローン、そしてマイナンバー制度に至るまで、人々を「ソフトに固定」することに、いまも体制は余念がない。

資本主義って結構マインドコントロールが多いですからね。

こういうことが裏側にあっても特に驚かない。最近の調査では、若者はマイホームを持たない傾向にあるらしいので、それも中長期的に見たら資本主義の崩壊につながっていくんじゃないかな。個人主義と国境が溶けていくことも相まって。

 

アンタッチャブルな話③

日本は、変われない国家ではない。「日本のオーナー」の意向によって、変わってもらっては困るのだ。だから、明治維新からなにも変わらないことがバレないように、あらゆる手を使って、明治維新を美化する必要がある。我が国は、江戸幕府が崩壊し、変わって素晴らしくなった、と言いたいのだろうが、実は変わったのはオーナーだけだったのである。

 オーナーとは誰か?もこの本では触れられている。

 

 グローバリゼーションの問題

グローバリゼーションの最大の問題は、フラット化するとともに比例する、あたらしい民族大移動にある。それは、富が移動し偏重するからで、人はそれを追いかけるように移動する。先進国の中間層の富は、真っ先に世界へと流れ出ることになり、フラット化するというより、リキッド化すると僕は説いている。

この見え方は世界を飛び回る高城剛ならではだろう。

世界を俯瞰的に見なければこんな見え方はなかなかできない。そしてきっとそうなっていくっていうか、もうなっている。中間所得者層の富は、年々目減りしていて、日本のGDPはドルベースで2012年比21%も下落している。

円安になったから仕方ないのかもしれないが、他国が伸びていくなか、日本の問題は深刻だ。

 

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http://ecodb.net/exec/trans_country.php?d=NGDPD&c1=JP&c2=US&c3=CN

 

多動力がもたらすものとは何か。

すなわち、イノベーターなき民主的世界では、ほんのわずかな変化か、現状維持以外は望めない。もし、国家や企業や誰かが、いままで以上の大きな成長を求めたり、なにかにおいて抜本的な問題解決をしたいなら、民主主義下では絶対に浮上することがない3%の多動な人物かつ2・5%のイノベーターを、「移動してしまう前に、思いとどませることができるか」にかかっている。その成功例が、シリコンバレーなのだ。

これにはなるほどと思った。

多動力がある人間っていうのは、イノベーターだ。それを実現したのがシリコンバレーで、だからこそたくさんのプロダクトが生まれてくる。

多動力を持てる人間っていうのは、例外なく個人の能力がある人だから、いかにそういった動き回る人を留めておけるかの魅力を持ち続けるのも大事なのだろう。

 

シリコンバレー自閉症が多いのも頷ける。

 

シリコンバレーで自閉症が急増中!? いったい何が起きているのか (スティーブ・シルバーマン) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

 

 大麻の解禁は歴史的転換点

昨今、医療大麻がアメリカやカナダで合法になってきている。税金が取れるから、政府も好都合だということで、大麻解禁になってきていると思ったが、どうやら本質はもっと深いらしい。

 

反体制の象徴だと言われた、セックス、ドラッグ、ロックンロールもイージー&コンビニエントになり、「ロシア女性との出会い」のようなスパムメールが、毎日のように僕にも届き、大麻は合法化され、ロックは巨大産業化した世界に変わったのだ。

・・・中略・・・

それを米国の娯楽大麻解禁に見る。2010年代に入ってもっとも革命的な出来事は、米国の娯楽大麻の解禁である。

・・・中略・・・

いったい、なぜ娯楽大麻が突如として解禁になったのか。僕は、それを米国の大きな変化とみている。

・・・中略・・・

そこで登場したのが、リバタリアンである。リバタリアンは「権力は絶対に腐敗する」ことを前提に、個人の完全な自由を標榜する人たちだ。政治家も官僚も、システムが強固であればあるほど規制が増え、個人の自由が束縛されることになるのは、長い歴史を見ても世の常だ。

・・・中略・・・

世界を変えるのはリベラルではない。ましてや、古めかしい保守でもネオコンでもない。世界を変えるのは、リバタリアンとヒッピーによる協業で、これが90年代の情報産業を世界的に押し上げた本当の要因だった。 ヒッピーが作ったミニコミに端を発するようなワールドワイドウェブに、政府とは距離を置き世界へと向かう金融関係者が大量の資金を流し込むことによって、情報産業は瞬時に巨大化した。リバタリアンとヒッピー勢力の融合が、現代社会を変える。それが、コロラドの全米初大麻完全解禁をもたらしたのだ。

草の根の活動は今も起こっている。一度花開いたムーブメントは、枯れるまで開き続ける。カリフォルニアであったらフラワームーブメントは今も人々の考えを動かし続けているのかもしれない。

 

民主主義について

近年、米国の衰退や世界の多極化が公然と話されるようになって、それはある意味事実なのだが、僕の見方は少し異なる。世界がアメリカ化したので、アメリカは不要になったのだ。国際競争力で上位だ、と勝ち誇ったように言われているシンガポールを見れば、よくわかる。アメリカの美味しいところどりして、不味いところにはけっして手を出さない。その一番不味いところとは、民主主義である。

 

 気づきが多い本は、それだけで読む価値がある。

 

 

 

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