【レビュー】あなたの会社が90日で儲かる! 神田昌典

あなたの会社が90日で儲かる!

神田昌典

 

神田昌典さんが出す本は、全部面白い。

私は以前、同著者の“不変のマーケティング”を、ふとしたタイミングで手に取り購入した。

なぜ買ったのだろうか。それはいろんな理由があった。ただ色濃く覚えているのは、「自分の関わっているビジネスに不安を覚えたから」だ。

私は購買というActionを起こした。

 

しかし、なぜ様々な自己啓発本マーケティングの本が溢れている中で、神田昌典さんの本を選択したのだろうか。

今となっては理解できる。

 

私は知らず知らずの内に、誘導され、「買いたい!」という感情を抑えきれなくなっていた。ネットを検索した際に出てきた記事、周りの友人の声、Amazonの口コミ。様々な要因があって、私は購買という行動を実行した。

 

 

 

では、なぜ行動するのか。なぜ人は買いたいと思うのか。

 

この本に全て書いていた。

“エモーショナル・マーケティング”である。

 

 

エモーショナル・マーケティングとは

読んで字の如く、人の感情を揺さぶって、購買行動に促すことが、この本の一貫している主張だ。著者はこう言っている。

 

その概念とは、エモーションである。お客の感情的な反応(エモーショナル・レスポンス)を起こすことが、営業活動にとって、極めて重要なのである。そして、この方法をマスターすることによって、あなたが全く知らない世界が開けてくるのだ。

 

 

今、私が関わっているビジネス領域は広告だ。

広告を使って、いかに顧客の利益へ還元できるかが仕事である。しかし、広告も営業と同じように感情が大事なのだろうか。

 

エモーション(感情)が広告宣伝に対する反応を上げる。

いかにお客と感情的な繋がりを持つことができるかが決め手。

お客を前にしてなにをいうかによって、お客の消費欲求が喚起される。

 

 

つまり、対面でものを売るのも、媒体でモノを売るのも結局は同じってことだ。

人の感情を反応させることが、人を動かす第一歩とこの本は言っている。

ちまたには、購買意欲を刺激しない広告がたくさんある。購買意欲を刺激しない営業マンがたくさんいる。そういった人や物には何か原因がある。

 

著者曰く、それは感情を動かすことができていないことが、そもそもの原因とのことだ。

 

 

これは私への本か?

私はかつてウェブ制作の会社で営業の最前線で戦っていた。顧客は医者や歯医者、整骨院など個人事業主だった。

さまざまな営業先では、もちろん独特のこだわりを持って仕事をしている方もいる。そして総じてそういった方たちは、自分の技術が高いことに対しての自負がある。

しかし、患者は来ない。患者は誰が技術が高くて、誰が技術が低いのかわからないのだ。技術の高いこだわりを持った職人気質の人たちは、広告や売り込みを嫌っていた。

 

「患者は勝手に来るだろう。・・・なぜなら、私は腕が良いからだ。」

 

まさしく下のようなことが起きていた。

 

真実をいおう。

「真面日に働く」というのと、「儲かる」ことは、相関関係はない。残念なことではあるが、真面日にやっても潰れることがある。社長が真剣に、社会に貢献しようと頑張っていても、社員が夜中まで血のにじむような努力をしても、容赦ない。最高にいいやつでもガンになってしまうのと同じように、真面目で、誠実な会社でも潰れる。これが現実なのである。

 

・・・中略・・・

 

ところが正直者は、なまじっか商品が良いもんだから、売り方を真剣に勉強しない。商品が良ければ、自動的に売れると思っている。いま売れなくても、いい商品だから、いつかは売れる。そんな奇跡が起こると信じている。つまり、商品に甘えているわけである。

 

 

私は営業先でこのようなことを何度も目にした。

そしてこの人たちは広告のメリットをなかなか理解しない。私も中途半端な知識であったため、相手を説得できずに終わるケースが非常に多かった。

 

 

営業側も甘い戦略を立てていた

常にテレアポ200件から300件掛け、アポが取れたところへ訪問する。そして売り込む。売り込む。売り込む。

 

たまたまタイミングがあって、相手の問題が明確の場合は、受注できるケースもあった。しかし、それは本当に「たまたま」であって、ほぼ運ゲーだった。私は絨毯爆撃と名付け、この営業手法や戦略を皮肉っていた。

しかし、事態は何も変わらない。

 

なぜ営業が取れないのか?私は自責で考えた。

答えが浮かばない。営業トークか?それとも、雰囲気か?それとも商材か?私は泥沼にハマっていくばかりだった。

 

著者は言う。

 

なんでこんなことになってしまうかといえば、簡単なこと。営業マンがしゃべると、それだけで売り込みになるのである。人は誰でも、売り込みは嫌いだ。売り込まれると、欲しいものでも、欲しくなくなる。

にもかかわらず、提案営業は、営業マンがしゃべることで成り立っている。「いまプレゼンをしてるんだから、まず私の話を終わりまで聞きなさい」というもんである。

提案営業は、冒頭から、ボタンを掛け間違える。

これからの営業を難しくする人間関係をつくってしまうのである。私、売り込む人。あなた、売り込まれる人。売り込まれる人は、売り込まれないようにする感情が自然に起こる。

 

・・・中略・・・

 

逆に、営業マンと認識されてしまったら、一気にセールスは難しくなる。どんなに優れた知識や素晴らしいサービスを提供しても、あなたは、大勢の営業マンの一人である。はじめの不信感を乗り越えて、信頼を獲得し、成約に繋げていかなければならない。その結果、かなりの回り道をすることになる。

 

 

今思えば私はこのような状態になっていたのだった。

 

 

100本行って1本も取れないってことはない

売れる時もある。

どういう時かと言うと、相手の話を聞いて、相手が何を求めているのかニーズを掘り下げた時だ。そして、相手のことを調べ上げ、絶対にこの商品をやった方が良いという確信を持った後、営業へ行く場合だ。

そういう時は大体受注に繋がる。

「相手にとってメリットがある。やらないことはもったいない!」と自信を持っていたことが要因だろう。

 

商品を売る以前に、自分を売る。

 

・・・中略・・・

 

○商品のライフサイクルによって、反応率は大きく左右される。

○お客が感じる価値が絶対的な価値を上回ったときに、購買が起こる。

○できる営業マンはしやベらない。

○(お客は)手に入りにくいものは欲しくなる。

○お客の感情的な反応を起こすことが極めて重要。

 

 

私はできていた。しかし、理論立てていなかったため、確信を持って、その行動プロセスを繰り返すことはできなかった。

何事も理論と確信だと今となっては思う。

 

 

この本は、以前の私と今後の私を繋いでくれる本だ

私は今後、マーケティングの分野を掘り下げていく。だから営業とは関係は薄いと思っていた。だがしかし、この本は「営業と広告は同じ」と言う。

 

この原理原則は、営業マンだけでなく、チラシや広告でも全く同じ。チラシだろうと、営業マンだろうと、販売を目的とするかぎり、購買に向かうまでの、お客の感情は無視できない。お客の感情を無視して、自分よがりになると、営業マンでもチラシでも、反応率が急に低くなる。

 

 

そうだ。

モノを売る自体は変わりがない。私は何か閃きが起こったように目の前が明るくなった。

ようやくここに来てエモーショナル・マーケティングの概念が腑に落ちた。「モノ売るために必要なこと=感情を動かすこと」だ。

 

著者が言う、営業でも広告でも、モノが売れる法則とは大きく三つのポイントがある。

 

ポイントのひとつ目は、売り込み臭がほとんどしないように作ってあることである。

ダイレクトメールの場合も、売り込みをしてはいけないという原理原則を守ってほしい。これは前に話した、訪問営業の場合と全く同じ。

初めから、売り込みと分かってしまう場合、それだけで、相手は感情的に反発する。その反発を起こさせてしまうと、相手はバリアを築く。そのバリアを取り崩すのは、大変難しい。そこで封筒を受け取った瞬間から、売り込み臭を感じさせないょうに作り込んでいる。

 

・・・中略・・・

 

ポイントの二つ目は、相手にとって得はあっても、リスクが全くない提案をしていることである。

 

・・・中略・・・

 

ポイントの三つ目は、次の行動を起こしてもらうために、必要な情報はすべて与えてい

ることである。面白ければ、長くても読む。そして誰が読むかというと、この商品に興味のある客が読むのである。

 

 

これが肝である。私はどこかダイレクトレスポンスマーケティングを上手くできるんじゃないのかという曖昧な自信を、確信に変えることができる気がした。

 

 

営業と広告が同義ならば

営業と広告が同義ならば、あとは考え方を変えるだけだ。

今までのスタイルは、絨毯爆撃のように、見込みっぽい人に当たるまでひたすら無作為に電話をしていた。

そうではなく、いかにしてそういった人たちに“見てもらうか、発見してもらうか、意識してもらうか”に考え方をシフトするだけだ。

 

広告宣伝では、商品を売ることではなく、興味のある人を集めることを徹底することである。

 

 

広告やダイレクトメールへの反応を数字で計測する。すると表現の違いで、反応が何倍も異なることが分かる。そのデータを集積して、消費感情の引き金を引くパターンを見つける。いったい、どんな言葉、どんな文章の展開をした場合に、反応が高まるのか?どんなレイアウト、どんなデザインをしたときに、消費感情が動くのか?そういう法則性を導くという試みが、エモーショナル・マーケティングなのである。

そして、その法則は、業界には左右されない。流行り廃りもない。人間の心の法則だから、普遍性をもつのである。

 

 

営業と広告の本質は大きく変わらない。変わるのは、戦略や行動プロセスだけだと納得がいった。

 

できる営業マンはお客さんの反応を良く取れる = できる広告は、ある言葉、ある文章で反応を良く取れる

できる営業マンは身なりがキチンとしているので反応を良く取れる = できる広告は、あるレイアウト、あるデザインにすると反応を良く取れる

 

そして、大事な項目として、両者に共通しているのは、感情が反映されているかどうかだ。

 

消費感情を刺激すること。

それが営業であり、エモーショナル・マーケティングである。

 

 

営業と違う点は何か

24時間365日働き続けることができる点が違う。営業マンは人なので、休みが必要だ。

それに対して、広告、特にウェブ広告は、戦略が積み上がったらあとは放置するだけで勝手に売り上げを上げてくれる。いわゆる、キャッシュマシーンになってくれる。

なので戦略作り、特に相手の感情を動かすようなエモーショナル・マーケティングが大事になってくる。

 

 

さらなるマーケティングとして

著者曰く、よくいる営業マンは「そのうち客」を無視している。私もこの本を読み、そのうち客を無視するのは非常にもったいないと気付けるようになった。

 

しかし、その資料請求の電話を一本鳴らさせるために、会社は、どれだけの経費を使っているのか。典型的な反応率から試算すると、一本の電話が、十万円近くかかるのである。つまり、その一本の電話の価値を知らないバカな会社は、十万円をドプに捨てているのである。一方、一本の電話の価値を知っている会社はどうするか。

その時点から、「そのうち客」を育てる活動が始まるわけである。

 

 

マーケティングをして戦略を立てるメリットとしては、下記のような価値がある。

 

それに対して、情報提供というステップを置いた場合は、どうだろうか?

当初から、お客との人間関係が全く異なる。お客さんは、あなたを専門家として、位置付けるわけである。

どうすれば専門家としての位置付けが、可能になるのか?

それは、まずお客さんに、手を挙げてもらうことが鍵である。情報提供というステップを加えた場合は、あなたは、「ご希望の方に、このガイドブックを進呈致します」という立場。一方、お客は、「資料を送って欲しいんですけど」と依頼する立場。このように、まずお客さんに手を挙げてもらえれば、その後のセールスのスムーズさが違う。あなたが十分の商品知識をもっていれば、「○○を買うんだったら、○○さんから買おう」と専門家として信頼されることになる。つまりお客さんとの位置付けを、冒頭に間違えなければ、後は、自動的に成約していくわけである。

 

 

①情報ツールで「そのうち客」を集める。

②相手から手を挙げてもらうことにより、専門家として位置付ける。

③成約に至るまで、お客が自ら登れるスムーズな階段を用意する。

以上である。

このポイントを押さえて営業プロセスを設計すると、広告宣伝の反応率の上昇が、売り上げに結び付くシステムが動き出す。一度、このシステムに入ったお客は、自然に成約する流れに乗る。まるで工場で、ベルトコンベヤーが動いて製品が作られるように、見込客から既存客が生み出される。

 

 

まとめ

この本は非常に面白いポイントがたくさん存在した。特に営業とマーケティングの橋渡しをしてくれた点には感謝している。

やはり、「モノを売るには感情が大事だ」ということを再認識できたことが大きい。

そして、営業もマーケティングもモノを売るという点に関して、本質は全く同じだという確信を、この本がバックアップしてくれたことも大きい。

 

営業とマーケティングの違いは、賭けれるレバレッジの違いだと個人的には思う。

営業マンは人なので、売り上げることができる最高金額に限界がどうしても存在する。

それに対してマーケティングを駆使したウェブの広告に関しては、24時間365日働いてくれる。しかも自動で。

これが大きな違いかもしれない。

 

いままでの方法は、お客に、自分本位の売り込みをかけてきた。そのため、あなたとの人間関係をつくることを妨げてきた。

エモーショナル・マーケティングとは、あなたとお客さんの心を、スムーズに繋ぐ方法なのである。そしてあなたの思いを、市場に、急速に伝える。それを、いままでの方法に比べ、何倍ものスピードで達成していく。

 

 

自分の世界観が広がるのは常に面白いと再認識した本だった。