【書評】人類の未来 AI、経済、民主主義 (NHK出版新書)

はじめに

編集の吉成真由美さんによって、うまくまとめられていると感じました。

よくぞこんな各界の巨匠にインタビューする機会を設けれたなという点と、吉成さんの知識の豊富さに驚きます。

国際政治からテクノロジー、経済や金融の知識を幅広く持ってらっしゃる吉成さんは、インタビューの中でも鋭い質問をして、巨匠たちから「良い質問ですね」という言葉をもらうシーンが何度か出てきます。

そんなの別に挿れる必要ないのですが、リアリティさを出すために、“あえて”いれたのでしょう。

 

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どういう人が読むべきか

この本は幅広く知識を取り入れたいと思っている人にオススメです。

面白い本に出会うと一気に読んでしまったっていう経験は誰しもあると思いますが、この本は特にその経験をさせてくれます。

著名人が5人出てくるのですが、それぞれのエピソードが凝縮されており、長くも短くも感じません。程よい感じなのです。

普段なら経済や金融、政治の本は長ったらしいので読む気がしませんが、この短さなら30分から1時間程度で読めます。しかも翻訳がいいのか、理解に苦しむことはないのでご安心を。

 

僕はこの本を通して、レイカーツワイルとビャルケインゲルスに興味が出て、情報を収集するキッカケとなりました。

 

気になった部分の抜粋

レイカーツワイルの言葉が非常に面白く、しかも教育に関して、良い的を付いていましたので抜粋します。

 

テクノロジーの光と影

教育の目的は、実践することで問題解決能力を養うこと

 

ー教育の将来についてはどのようにお考えですか。

 

カーツワイル

従来の教育モデルはすでに破綻しています。非常に長い時間を使って、情報を子供達の脳に詰め込むのがこれまでの教育でしたが、もうそれは完全に時代遅れです。われわれはすでに、情報を常に携帯していることができるのですから。

子供だけでなく大人にも教育しなければならないのは、入手できる情報を駆使してどのようにして問題を解決するかという、問題解決能力です。情報を入手できるからと言って、それで問題解決が簡単になるわけではありません。情報収集がそのまま新しい数学の問題を解いたり、作曲したり、詩を作ったりすることにはならないですね。

私が大学に入ったころには、ちょうどスマートフォンくらいの大きさの計算機があって、五つの能力を備えていました。加減乗除と簡単なメモリーです。そのころこういう計算機は、賛否両論でした。これによって子供達の加減乗除をする能力が衰えるんじゃないか、ということで。実際にはその予測は正しく、計算機導入によって、子供たちの紙の上での計算能力はぐっと落ちました。だからと言って、計算機が消えることはなかった。そして子供たちは、紙と鉛筆を使って計算を早く正確に行うために振り分けていた能力を、これらの演算機能をさらにどのような問題解決に応用できるだろうか、という方向に使うことが可能になったのです。

シンギュラリティ大学では、「実勢によって学ぶ」ということをモットーにしています。以前は国家や大会社のプロジェクトでしか使えなかったような効果な道具が、今では学生でも使えるほど汎用化されていますし、数年前までは不可能だったけれども、今では子供でも、新しい医療テストを行ったりすることでさえできるようになっています。

「実践することで学ぶ」というのは、教育の正しいあり方だと思います。私自身、学校の授業から何かを学んだということはなくて、すべてプロジェクトを実践することで学んできました。ゴールに向かって進む情熱があっても、達成できるかどうかはまちまちですが、ゴールに向かって歩んでいる道すがら、実にいろいろなことを学びますし、それらのレッスンは確実に身につく。子供から大人まで、このやり方で学べます。これが教育の適切なモデルだと思います。

 

良いこと言ってます。

今の教育モデルはまさしく崩壊していて、それを立て直す方法は、問題解決能力を養う以外にありえないのです。

だから論理力や分析能力を鍛えないといけない。

そのためにテクノロジーを使わないといけないのでしょうね。

 

良い大学に入ったからと言って成功するとは限らないのは、この時代の常識になりつつあります。

むしろ問題解決能力を持ったバカの方が成功する確率は高いでしょう。

 

こういう、ハッとさせられる洞察を知れるのが、この本を買う理由です。

一読あれ。